下館市は「神輿の町」として知られています。でも、知られている神輿はというと、中心市街地のほんの一部のものにすぎません。
 なにしろ、市全体では170基以上の神輿があって、7月から8月にかけて約80ケ所で祇園祭が繰り広げられているのですから。
 とくに周辺部(昭和29年の合併以前の村部)のものは、それぞれの集落以外の人達にとって、見る機会がほとんどありません。しかしそれらの中にこそ、由緒ある神輿や、見事な彫刻が施された神輿がたくさんあるのです。
 そこで平成14年11月23、24日の両日、「下館の古神輿」と銘打って、旧村部の神輿の中で戦前に作られたものだけを集めた展覧会を開催しました。集合した神輿が24基、2日間で来場者は2,000人を超えました。
 会場での「2日間ではもったいない。」という多くの声、そして遠い昔神輿を作り守ってきた先人達、貴重な神輿を快く貸して下さった集落の方々、さらにその搬送に協力頂いた皆さん、それぞれへの感謝の気持ちから、こんな小冊子が生まれました。展覧会会場の雰囲気そのままの写真に添えた解説は、郷土史家の塩田勝男さんです。
 これらの神輿が、各集落でいついつまでも大切に受け継がれてゆくことを願ってやみません。


下館・時の会 〒308-0021 茨城県下館市甲929 TEL0296-23-2607(T's設計室)

この図録は、上記「下館・時の会」で販売しています。一部500円。直接お問い合わせ下さい。


 「下館の古神輿」の会場となった旧井狩酒造弐号蔵は、約100年前、明治時代の半ばに建てられ、ここで清酒「吟聲(ぎんせい)」が造られていました。
 外壁は白漆喰ですが、内部は荒々しい土壁が約70坪の大空間を包み込んでいます。力強い棟木、大梁、そしてそれらをしっかりと受け止めながら土間を巡る列柱。中央の浮かぶような二階部分には、長大な一枚板がふんだんに使われているなど、見所もたくさんあります。
 この魅力的な空間の活用については、さまざまな可能性が考えられ、弐号蔵は、次の世代に残すべき下館市内で最も貴重な歴史的建造物のひとつといえるでしょう。


こちらからお入り下さい。